歯の神経・根の治療
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歯内治療(歯の神経や根の治療)とは
歯内治療とは、う蝕(むし歯)が重度に進行して歯髄(歯の神経)や歯の根の内部にまで細菌感染が生じた場合に行う治療です。
う蝕(むし歯) が進行し歯髄(歯の神経)に達すると、むし歯菌が歯髄に感染して、歯髄炎(歯の神経の病気)が発症します。歯髄炎の初期症状は冷たい物や甘いものを食べた時に一時的に痛みを感じる程度ですが、その後重症化するに従い、熱い物がしみたり、何もしていないのに歯がズキズキするような激しい痛みが出るようになります。歯髄炎が発症した場合、局所麻酔を行い歯髄の除去(拔髄=歯の神経の治療)を行う必要があります。
しかしながら、感染した歯髄や細菌を完全に取り除くことが困難な場合もあり、拔髄した後に歯の根の内部(根管)に細菌が残存することがあります。そのような場合には根管内に細菌感染が持続し、歯の根の先端部分に根尖性歯周炎(歯の根の病気)が発症し、再度痛みが出たり歯茎が腫れたりすることがあります。根尖性歯周炎が発症した場合、細菌に汚染された根管内や根管周囲に残存する細菌をできる限り取り除き、根管内を徹底的に洗浄した後、専用の薬剤や材料によって根管内を封鎖(根管充填)します。この根尖性歯周炎に対して行う治療を感染根管治療と呼び、感染根管治療により根管内の細菌を徹底的に除去し根尖(歯の根の先端)部の炎症を取り除いた後、冠などの被せ物を装着することにより、長期間しっかりと物を噛むことができるようになります。
症例紹介
50歳代 女性
治療前 | 治療後(根管充填後) |
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根尖性歯周炎(歯の根の病気)に対して、感染根管治療を行っった。
治療後(右図)に、歯の根の周囲にあった病変の消失(矢印)が認められる。
患者さま | 50歳代女性 |
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主訴 | 上の前歯の歯茎が腫れて、膿が出てきた。 |
診断名 | 根尖性歯周炎 |
治療内容 | 感染根管治療 |
治療費用 | 約1万円(保険診療3割負担の場合) ※保険診療では来院回数や保険の負担割合によりお支払いいただく金額は異なります。 ※症状や使用する材料によっては、保険外の治療になることもあります。 |
治療期間 | 約9ヶ月 |
治療回数 | 概ね5〜6回程度 |
主なリスクや副作用 | 治療過程における一時的な痛みの出現や治療器具の破損などの偶発事故が発生する可能性がありますが、特別な副作用はありません。 (全ての症例で同様の治療効果が生じるものではありません。) |
50歳代 女性
治療前 | 治療後(根管充填後) |
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根尖性歯周炎(歯の根の病気)に対して、感染根管治療を行っった。
治療後(右図)に、歯の根の先端部にあった大きな病変の縮小(矢印)が認められる。
患者さま | 30歳代女性 |
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主訴 | 右の下の奥歯が痛くて噛めない、歯茎も腫れてきた。 |
診断名 | 根尖性歯周炎 |
治療内容 | 感染根管治療 |
治療費用 | 約3万円(保険診療3割負担の場合) ※保険診療では来院回数や保険の負担割合によりお支払いいただく金額は異なります。 ※症状や使用する材料によっては、保険外の治療になることもあります。 |
治療期間 | 約1年 |
治療回数 | 概ね10〜15回 |
主なリスクや副作用 | 治療過程において、一時的な痛みの出現することがあります。また、治療器具の破損や歯の破折などの偶発事故が発生する可能性がありますが、特別な副作用はありません。 (全ての症例で同様の治療効果が生じるものではありません。) |
歯内治療の重要性
歯を建築物に例えれば、歯の根は建築物における基礎部分に相当します。つまり、歯の治療における歯内治療とは建築物において基礎部分を補強・修復するような、重要な治療というわけです。どんなに見かけが素敵な建築物でも、土台である基礎がしっかりしていなければ、長期間使い続けることはできません。
歯も同じで、歯の土台である歯の根がしっかりとしていなければ、いくら綺麗な冠などの被せ物を装着しても安定して長期間使い続けることはできません。しっかりした精密な歯内治療を行えば、経年劣化により冠などの被せ物の修理や再製が必要になることはあるかも知れませんが、歯そのものを失うリスクは低くなります。
歯内治療の専門医による治療
当院では、歯内治療の精度と安全性を高めるため、マイクロスコープをはじめとする様々な機器や機材を導入し歯内治療の専門医(日本歯科保存学会認定 歯科保存治療専門医)が治療に当たっています。
当院の根管治療の特長
マイクロスコープを用いた精密な歯内治療
歯髄(歯の神経)が存在する歯の根の内部(根管)の形態はとても複雑で、歯内治療は歯科治療の中でも非常に高い技術が要求される治療です。様々な治療技術が進歩した現在でも、歯内治療の成功率を100%にまで高めることは困難です。治療の精度と安全性を高めるため、当院ではマイクロスコープを導入し精密な歯内治療行っています。患者さまの大切な歯をできる限り残すために最善を尽くしますので、重度のむし歯ができて歯内治療が必要な時は是非ご相談ください。
歯科用高解像度CT装置の活用
歯の形態や大きさは様々で、一つとして同じ歯はありません。また、同じ種類の歯でも歯やその根、そしてその内部の根管の位置や形態は人ごとに、また歯ごとに異なっています。そのため、従来の歯科用X線撮影による平面的な二次元画像では、複雑な歯の根や根管の形態や病変の位置や広がりを正確に診断することに限界がありました。
当院では、多彩な機能を有する歯科用高解像度CT装置を導入し、患者さまのお口の中の歯や組織を立体的に捉え、歯や周辺組織を三次元的に評価し診断します。歯科用高解像度CT装置により得られる三次元情報は精度が高く、歯根や根管の形態はもちろん、病変の有無や大きさも正確に把握できます。こうした情報は、精度の高い歯内治療に欠かせないものです。
ニッケルチタンファイルの活用
歯内治療では、歯髄の除去や根管内の細菌やその汚染物を取り除くために、ファイルと呼ばれる金属製の歯科用のドリルのような切削器具を用います。通常は、ステンレス製のファイルを用いますが、ステンレスファイルは硬く丈夫ですが、弾力性が乏しいため、細い湾曲した根管に使用すると治療の途中で破折するリスクがあります。当院では、柔軟性に優れ、細い湾曲した根管に使用した場合でも破折するリスクが低いニッケルチタンファイル(NiTiファイル)を導入し、安全かつ精度の高い歯内治療を提供しています。
MTAセメントの使用
近年、水酸化カルシウム製剤に代わる直接覆髄材(歯髄の炎症を沈静化して治癒を促進する材料)としてMTAセメントが注目されています。 適応外使用になりますが、歯に穴が開いた穿孔部をMTAセメントで封鎖した症例で良い治療成績が報告されています。当院では、MTAセメントを導入し、歯の根や根管壁に穴が開いているケースに使用して、治療成績の向上を目指しています。
歯根端切除術にも対応
歯根端切除術は、通常の歯内治療では治せない症例に適応される外科的な歯内治療です。根尖部(歯の根の先端部)を外科的に切除し、通常の感染根管治療とは逆方向から根管充填(根管を封鎖)して、根管内の細菌感染の外部への波及を防止します。歯根端切除術は難易度の高い治療法ですので、当院ではマイクロスコープを使用し十分に視野を確保し、歯内治療の専門医が治療を行なっています。
ラバーダム防湿の実施
歯内治療を成功させるポイントは、根管内をできる限り無菌化することです。治療中に根管内に細菌が侵入してしまえば、齒内治療の予後に悪影響を及ぼ可能性が大きくなります。ラバーダム防湿は、ラバーダムと呼ばれるゴム製のシートで治療部位を隔離し治療部位への唾液の混入を防ぐものです。ラバーダム防湿により、根管内の無菌的処置を実現でき、治療成績の向上が期待できます。
歯内治療の基本を確実に
当院では歯内治療の基本を確実に行います。
根管内の超音波洗浄による徹底清掃、すき間のない緊密な根管充填、使用する器具の徹底した滅菌管理などの歯内治療の基本を徹底することにより、患者さまの大切な歯をできる限り残すために最善を尽くします。
治療時間を十分に確保
歯内治療は高度な技術と精密さが求められる治療ですので、時間をかけて丁寧に行うことが大切です。当院では、患者さま一人ひとりに十分な治療時間を確保し、丁寧かつ精度の高い歯内治療をご提供しています。